『 こころのからくり 』

6通目のメールで
別れた恋人の嫌いな部分や欠点を紙に書きだして
相手を客観的にみつめようと書きましたね。

そのあと
『別れた恋人のいやなところなどまったく見つけられないのです』
というメールを何通もいただきました。

失恋の痛みに苦しんでいるにも関わらず
別れた相手の欠点がみつけ出せないのはどうしてなのでしょうか。。。
今日はそのことについてもう少し考えてみました。

私も最初は相手の欠点など、なかなか見つけられませんでした。
ただひたすらよいところばかり思い出して、
彼以上に好きになる人など今後絶対いない、
なのにどうしてこんな結末になったのだろうと、悲しんでばかりでした。
ひどいよ! なぜわかってくれないの、と思いはしても、
彼の嫌なところなんてほとんど思いつきませんでした。。。

今、失恋から立ち直って、
恋愛していたころの自分を客観的に見つめられるようになって、
いろいろわかってきたことがあります。。。

つきあいがうまくいっていた頃の私は、
彼と波風が立たないように、喧嘩にならないように、
いつも幸せであるようにそればかり考えていたかもしれません。
ですから、たとえば彼が急に理由もなく不機嫌になったり、
何かの拍子に思いやりのない言葉を投げつけてきたり、
小さな嘘をついたり、
そういった不穏なことをすべて、無意識のうちに
見て見ないふりをしていたのです。。。

実際に無意識下の私は、彼のマイナス部分に居心地の悪さや
関係性が終わる予感をちゃんと感じ取っていたはずでした。
彼といるといたたまれない気分になるようなことも
実際何度もあったのです。。。

だけど、彼に恋をしていた私は、それを絶対に信じたくなかった。
この恋をだめにしたくなかったのです。。。
そして、どうしてそんな態度をとるのかと
彼に聞いて嫌われるのも、もっと怖かった。

この恋をだめにしたくなかったぶん、
いやだな、なんか気分悪いなという本音を、
すべて無視していたのです。。。

このことに気がつくまでに
ずいぶん時間がかかってしまいました。。。

そして、もうひとつ私が彼を引きずり続けた理由は、
彼との別れ方にも原因がありました。

たとえば「好きだけど、別 れる」とか「愛しているけど、仕方がない」とか、
よく聞く別れの言葉ですよね。

私は「きみのことは好きだけど、今は仕事が大事だから」という
彼の言葉を真に受けて別れました。
しかし、こんな別れの言葉を真に受けてばかだったと思います。

さびしいことですが
こういう言葉を使うのは、相手に嫌われたり恨まれたりしたくない、
なんとか穏便に別れたいと思うずるい言いわけです。。。
本当に好きなら、どんなに障害があっても
乗り越えていく強さを持つでしょう。
本当に好きならば、別れるよりもっと何とかしようと考えるでしょう。。。

好きだけど別れる、そんな別 れの言葉は
本当の理由を言って恨まれたり嫌われたりするのがイヤ、
そういう人の別れの常とう手段だと思ってよいのです。。。
(私の元彼の場合は、他に恋人がいたというのが真実でした)

しかし、こういう言葉を間に受けてしまうことって
やっぱりあるんですよね。。。
真に受けちゃいけないなんて言われても、
惚れた弱みで思いっきり騙されてしまうものなんですね。

昔、宮沢りえと貴乃花が破局したときに、
会見で貴乃花が言ったことばを思い出します

「彼女に対して愛情がなくなった」

当時は、なんて冷たいことを言う人だろう、ひどすぎる! と思いましたが
今考えてみると、あんなひどい言葉でも
「好きだけど別れを選びました」という類いの言葉よりは
ずっと優しいということに気がつきます。

心がすでに恋人のもとにないと伝えることは、
相手が怒って自分に殴りかかろうが殺しに来ようが
泣いて懇願しようが、
復活の見込みなどないのだという明確な表示です。

彼のそういう態度を見れば、もうこの恋がきっぱりと終わったのだと
認識することができますよね。。。
復活は絶対にあり得ない。
この人とは今後一切縁がないのだとわかります。。。
失恋の苦しみはあっても、心が彼に期待を寄せることはありません。
それだけあきらめも早く訪れる、
そのぶん、失恋から立ち直るのも容易になると思うのです。

しかし貴乃花が「好きだけど・・・」というようなズルイ言葉を使っていたら、
もっと長い間、宮沢さんを苦しめたことでしょう。
彼女の心が、もしかしたらやり直せるかもという期待をしてしまうからです。

これがこころのからくりなのではないでしょうか。。。

きっぱりとふられなかった場合、
自分を振った相手への憎しみはあっても、
その一方で「もしかするとまた復活するのではないか」
と期待してしまうのです。
そして何度も振り子が揺れるように好き、嫌いの葛藤をくり返し、
いつの間にか、心の中で「彼もきっと私と同じ気持ちでいるはず」
「彼もきっと私のことを考えているに違いない」という錯覚をはじめます。。。
心の中で恋愛がまだ続いているような気分になってしまうのです。
そしてその錯覚の中で再び彼を失うのが怖くなるのです。

私はまさに、このからくりにはまってしまったのでした。

彼が新しい恋人と現実の時間を過ごしているこちら側で、
甘い別れ言葉を真に受けた私は、
数年間、去った恋人への錯覚から離れられませんでした。。。
客観的に考えると、とっても滑稽な光景だと思います。。。
今だったら
『ほら私、何やってるの!? 現実を見てごらん! 目を開けてよく見なさい!』
と頭をひっぱたいてやるところです(笑)。

実際、この錯覚から抜けないと、
相手の悪いところなどなかなか見えない。。。
そう思うんですよ。。。

こういう状況の失恋とは、
現実に目を閉じたまま、過去の恋愛の中を生きているようなものです。。。

あなたがまだ失恋の迷宮の中で
時間に取り残されているならば、
そこから早く抜け出るように努力してみてください。。。

もし、どうしても彼の気に入らなかった部分が浮かばないのなら、
シビアに彼の本音を探る努力をするべきかもしれません。。。
甘い思い出に美化されず、
本当の理由をしっかり見極めることです。。。
それは何度も言うように、他に恋人がいたり、あなたにとっては
ショックな事実なのかもしれません。
しかし、それを知ったら少なくとも苦しみの呪いは
ある程度解けるかもしれません。。。
そして、そのとき、彼の弱いところもズルいところも、
いいところも悪いところも、
美化しないそのままの姿が見えてくるでしょう。。。

人間は誰も完ぺきではありません。。。
弱い部分をたくさん持っています。。。
自分を守りたい、自分がかわいい、
できるならラクしたい、嫌われたくないって思う生き物です。

あなたを振った彼もまた、完ぺきではなかったはず。
あなたの気持ちに応えられない、
弱い人だったかもしれません。。。

だから、あなたはせめて、
その傷をバネに、強い人になってください。。。

強くなって、立ち直って、
あなたのその強さに見合う素敵なひととめぐりあってください。
前の恋の何倍もしあわせになってください。
そのために、今、あなたがそこにいるのですから。。。

古い恋にまどわされず、前を向いてください。
あなたらしさを、とりもどしてください。
あなたの味方はいつだってここにいますから。

そして、今つらいのはあなただけではなく、
何百人何千人という単位でいるんですから。。。
だからがんばって。めげないで前を向いてください。

失恋で傷ついても、心の中には小さな炎が
ちゃんと残っています。。。
どうぞその火を大切に守っていてください。

もうすこしで、2001年が終わります。
そして新しい年がスタートするよ。
私たちもいっしょに出発地点に立とうね。。。(∩_∩)

**********************************

■ きょうのことば ■ 

 恋愛の最大の不幸は、愛していないのに愛されないことではない。
  もう愛していないのに、まだ愛されていることだ
 〜 デュマ(作家)〜

きつい言葉ですね。失恋したときもっとも痛い言葉でした。
イヤな言葉だと思いました。大嫌いな言葉でした。。。
心の底で、それが真実であることに気がついていたからです。
私の気持ちが彼を不愉快にさせるなんて考えたくありませんでした。
だけど、恋が終わってしまえば相手にとってこちらの未練や愛情は
邪魔になるのですね。。。それを学びました。。。
別れは苦しいことです。つらいことです。
しかし、それは決してあなただけ特別に苦しいということではありません。
誰もが同じように、恋をしたり、つきあったり別れたり、振られたりしながら
人生を学んでいくのです。。。
そうやって潔さや、やさしさや、あきらめや、人間としての深みを
積み重ねていくのですね。。。私もこの失恋でたくさん学びました。そして
前よりずっと、成長したのかもしれません。
今はこの言葉を見て、『そうだろうね』とうなずけたりできるのですから(笑)。
      
**********************************

■失恋のおくすり(Books)■

『インターネットの恋 ― 危ない魅惑・新しい世界』
エステル ・グイネル著  宮家あゆみ訳 インプレス刊

ネット恋愛は今や普通 の現象になりました。たとえ相手がネットで顔が
見えない関係であっても、実際と同じように激しく愛することもあれば
深く傷つくこともあります。実際にネット恋愛に苦しむ人について
精神科医の著者がわかりやすくアドバイスや分析をしています。
メールやチャットの強迫観念、危険なネット上の相手について、また
トラブルなどについて。今あなたがもしネット恋愛で悩んでいるならば、
きっと役にたつ一冊となるでしょう。

**********************************

2001.12.7


Copyright(C)Banbis Snowflower&The coachnuss All rights reserved.